今年、わたしが唯一映画館へ足を運んだのは「国宝」を観るためだった。仮面ライダー時代から密かに吉沢亮を推している人間としては、その圧倒的な演技力にもはや驚くまいと思っていたが、外へ放出するより内へと収束させた後に発散させる、あの爆発力には本当に驚かされた。

歌舞伎に取り憑かれた人間たちの業が、もう本当にどうしようもない。この人間のどうしようもなさ。だからこそ際立つ狂気じみた美しさが備わった作品がわたしは好きだ。

「昭和元禄落語心中」との共鳴

「国宝」視聴後、真っ先に思い浮かんだのは「昭和元禄落語心中」だった。
わたしのオールタイムベストは間違いなくこの作品である。その情景の細かさと、業に取り憑かれた人間の悲哀と美しさに、当時どうしようもない感情になったのを鮮明に覚えている。原作は言わずもがなアニメの出来栄えが本当に素晴らしい。

歌舞伎も落語も、芸を極めようとする人間が持つ共通の業がある。そこには美しさと同時に、逃れられない悲哀が横たわっている。

冬の人吉、豪雪の記憶

「昭和元禄落語心中」の冬の情景を思い返すとき、わたしは2025年頭に訪れた人吉を思い出すようになった。豪雪で一晩足止めを喰らったあの日、寿福酒造の前にある田町神社(田町菅原天満宮)は一面の雪景色だった。みんなで囲む寿福酒造のストーブの暖かさ。その光景が、アニメの中の冬の情景と不思議と重なるのだ。これから間違いなく、雪の日には思い出すだろう。

寿福酒造の方と直接話したことがあったり、蔵見学に行ったことがある人ならわかると思うが、寿福酒造もまた、焼酎という芸を極めようとする人々の場所である。歌舞伎、落語、焼酎。ジャンルは違えど、芸を極めようとする人間の情熱と執念は、どこか共通したものを宿している。

燗ロックで締める冬

特に冬は、コタツでハンテンを着て、「武者返し」を燗ロックで飲みたくなる。

こればかりはぜぇ〜ったいに燗ロックなのだ。異論は認めないと言いたいところだが、まあ、好きな飲み方で飲めば良い。

“情景が浮かぶ飲み物”は総じて素晴らしいじゃないか。

『燗ロック』の飲み方はこちらから

年末なのに年末感のない、寒くない2025年の年末である。残念ながらうちにはコタツもハンテンも無いが、まだまだ上手く作れない武者返しの燗ロックで2025年を締めようと思う。

みなさま、良いお年を!

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